歯周病は感染症です。歯周病菌が感染することで起こります。元々、口の中は歯周病菌の住みやすい環境にあります。
治療は歯周病菌の住みにくい環境を造ることが中心となります。それは歯周病菌の住みかとなり、栄養の補給源ともなる汚れを丁寧な歯ブラシで取り除くことから始まります。歯ブラシで取り除くことの出来ないところは、プロフェッショナルクリーニングと歯石を取ることで、更に、歯ぐきの奥まで進んだ歯周病は麻酔をして組織ごと取り除く外科手術をするというのが一般的な治療法です。
進行した歯周病は長時間の歯ブラシ、歯周病手術と患者さんの負担が大きく、又、患者さんの頑張り方次第では歯周病の改善はのぞめませんでした。
このたび、患者さんの負担が少なく、短期間で歯周病が改善する歯周内科に出会い、導入しました。
歯周内科治療は位相差顕微鏡で、お口の中に感染している細菌、真菌、原虫などを特定し、それらの微生物に効果のある薬剤を選択し微生物叢をきれいな状態に改善することで、内科的に治す治療法です。
治療前の汚れた微生物叢が治療後は短期間できれいに改善し、術前術後の状態が一目瞭然に画像で示されるという利点があります。また、はっきりと自覚できる程、歯ぐきからの出血や排膿が短期間で改善されます。
以前は長時間歯磨き(就寝前の20分以上の歯磨き)や外科治療によって1〜2年の治療期間でそのような微生物叢を獲得していました。微生物叢が改善されると、冷たい物がしみる、歯ぐきからの出血,排膿といった症状が緩和してきます。
顕微鏡で歯周病菌の除菌を確認後、通常の歯周病検査(歯周ポケット検査、磨き残し検査、歯の動揺度の検査等々)をし、それから歯石を除去します。その時、微生物叢が改善されていると、冷たい物がしみるというような症状が少なく、痛くありません。数回に分けて歯石を除去後、歯周病検査をして症状の改善を確認し、メインテナンスに移ります。
歯周病は感染症ですから、再感染もあります。せっかく綺麗な微生物叢を獲得し、歯周病が改善したわけですから、その状態を維持したいものです。それには毎日の丁寧な歯ブラシで、お口の中を清潔に保つこと、そして3〜4か月毎に来院していただき、検査とプロフェショナルクリーニングを受けることが重要となります。
(歯周病が治ったら再感染に気をつけましょう。回し飲み、回し食い、箸の使い回し、くしゃみ等で感染しますので家族一緒に治療されることをお勧めします。)
右の画像が位相差顕微鏡で見た口の中の微生物群(微生物叢)です。
動画で撮影・保存されております。
動画を見ると、こんなものが自分の口の中にいるのかとインパクトは強烈です。
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